やさしいビットコイン 取引所のハードフォーク対応の違いと理由

ビットコインなど仮想通貨の分裂(ハードフォーク)の仕組みについて初心者の人でもわかりやすいようやさしい図解で解説するシリーズの第3回は、「なぜ取引所によってフォーク後のコインへの対応が違うの?」です。

なぜ取引所によってフォーク後のコインへの対応が違うの?

第2回までの説明で、ハードフォークによって生まれたコインは、アドレスを管理している人が受け取ることをみてきました。ですが、ここでこんな疑問を感じた人がいると思います。

「ちょっと待って!取引所でコインを購入して持っていたけど、新しいコインは貰えなかったよ!」

一方で、取引所によってはハードフォークによって発生したコインが、元となったコインの保有者に付与されているところもあります。なぜ、取引所によってフォーク後のコインが貰える場合と貰えない場合があるのでしょうか?

※例えば、海外の取引所であるバイナンスはハードフォークで生まれた全コインに対してコインを付与する事を表明しています。

その理由は、「取引所の口座にあるコインのアドレスを管理しているのは取引所だから」なんです。

仮想通貨の取引所といえば、国内ではZaifBitflyer、Coincheckなどが有名ですね。文章ではわかりづらいので、図を使って見ていきましょう。

※2018/1/31時点、CoincheckはNEMハッキングの騒動が有り、落ち着くまでは登録を控えることを推奨します。

取引所では複数の人が口座を保有していますが、これらの口座にあるコインは取引所が管理するアドレスと紐付いています。ここで重要になるのは、ブロックチェーン上のアドレスにアクセスして、コインを送金するためには秘密鍵と呼ばれる鍵が必要である点です。利用者が取引所でコインを購入する場合、秘密鍵を利用者が管理することはありません。利用者が取引所でコインの送金を行う場合も、取引所が利用者の代わりに秘密鍵を使って送金しているのです。

さて、秘密鍵を取引所が管理している状態でハードフォークが行われた場合はどうなるのでしょうか。BTCのハードフォークでBTGが生まれる例で見てみましょう。これまで説明したように、取引所の管理するアドレスと、そのアドレスがBTCをいくら保有しているかという情報はコピーされるため、同量のBTGが取引所のアドレスに紐づくことになります。

ここで重要なのは、取引所の口座を持っている利用者は秘密鍵を管理していないため、アドレスにアクセスをすることが出来ません。当然、口座に自動的に新たなコインが付与されることもないため、取引所が何の対応も行わなければ取引所がハードフォークで生まれたコインを受け取って、それで終わりです。

BCHやBTGなど、これまで行われたハードフォークの例を見ると、フォークされたコインにもそれなりの値が付いているので、取引所が何の対応も行わない場合は、取引所が丸儲けということになりますね。

取引所に預けているとはいえ、自分のお金を出して購入したコインですので、ハードフォークで生まれたコインを受け取りたいですよね。取引所に預けているコインのハードフォークが行われた場合に、新しいコインを受け取ることができるか、利用者が確認すべきポイントは次の2つです。

1.ハードフォークで生まれたコインの取扱に対応するか

取り扱うコインの種類は、取引所によって差があります。ハードフォークによって生まれたコインを取引所が取り扱わなければ、そもそもコインが付与されることは絶対にありえません。コインを保管している取引所が、ハードフォークで生まれるコインの管理や売買に対応するのかという点は確認しておく必要があるでしょう。

図. 取引所がコインの取扱に対応することが必須条件

特に、日本の取引所は新たなコインの取扱を開始するために金融庁の認可を受ける必要があり、ハードフォークで生まれたコインへの対応は非常に遅いですし、相当時価総額が大きいコイン以外は取り扱わないところが多いです。そのため、特別な理由がない限り日本の取引所にコインを保管しておくことはリスクが大きいです。

利便性・安全性とハードフォークを考慮した上で、仮想通貨の一番オススメな保管方法はハードウォレットですが、ハードフォークで生まれたコインを取りこぼし無く受け取りたい場合は、最低でもバイナンスなどハードフォークへの対応を表明している取引所に移動させておくことを推奨します。

2.ハードフォークで生まれたコインを取引所が付与するか

ハードフォークで生まれたコインを取り扱うことが決まったとしても、取引所がコインを付与するかどうかという点は確認が必要です。ハードフォークによってコピーされる量と同じ量が受け取れれば良いですが、取引所によっては受け取ることができる量が違う、ということも考えられます。

こちらについても、同じく取引所毎のポリシーを事前に確認しておくことが大切です。やはり、日本の取引所は付与されたとしても非常に対応が遅いので、ハードフォークで生まれたコインを受け取る場合は海外取引所を利用するほうが無難です。

例えば、2017年の10月のハードフォークで誕生したBTGについてCoincheckは対応を表明していますが、2018年2月時点でまだ付与されていません。

次回の第4回では「ハードフォーク時にコインを確実に受取る方法は?」を解説していきます。

↑高額な仮想通貨を安全に保管するためにはハードウォレットの利用が一番です

目安として仮想通貨の資産が30万円を超えたら、頻繁に売買しない通貨はハードウォレットに入れておきましょう。2018年1月に発生したCoincheckのNEM流出事件のような危険から自分の資産を守ることが出来ますし、ハードフォークがあった場合にも、ハードウォレットにあればフォークされたコインを後から確実に受け取ることが可能です。Nicolは色々と検討した結果、Ledger Nano Sを利用しています。

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