大手SIerにみる基盤エンジニア「競争力」の課題

基盤エンジニアというと、皆さんの職場ではどういったイメージをもたれているだろうか。サーバの構築やネットワークの設定など、技術的な部分に特化した専門部隊であるという場合もあるだろうし、そもそも基盤チームやアプリケーションチームといった役割分担が存在しないという場合もあるだろう。

 

coyoの周囲では、「基盤エンジニア」は前者のケースで、業務アプリケーションの設計や顧客要件の定義を行うチームとは別に、技術的な部分の面倒を見る専門部隊という位置づけである。

 

さて、その基盤エンジニアの中で、先日「基盤エンジニアの競争力」という話題で、どんな課題を抱えているかという議論になったので、大手SIerの基盤エンジニアの抱える課題について考察してみたい。

 

そもそも競争力とは?

そもそも「競争力」という言葉が意味するところはなんだろうか。

 

[競争力]
競争力(きょうそうりょく、competitiveness)とは、
資源配分の効率性の概念であり、与えられた市場において市場構造が完全競争
であると見做される範囲で企業・業種・国家が財やサービスを売買する能力と
売上げの比較を言及する際に広く用いられる用語である。

引用元:Wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%B6%E4%BA%89%E5%8A%9B)

 

やや難解な表現で、わかったような、わからないような感じだが、このケースでは基盤エンジニアが「他の人たちより安く早く上手く出来る【能力】」を競争力だと定義しよう。

 

 

基盤エンジニアが抱える課題

大手SIerの「基盤エンジニア」が抱える課題として以下のようなものがあげられた。

 

■陳腐化
これまで必要とされていた【能力】が不要となりつつある。クラウド化とハードのスペック向上により基盤周りの細かい設計や、パラメータのチューニングなどが不要な局面が増え【能力】の価値が低下している。

 

■弱体化
事業を作り上げてきた先人たちが備えていた【能力】が、次の世代を担っていく社員たちに備わっていない。【能力】とは、技術力や問題解決能力、プロジェクトマネジメント能力、推進力など。

 

▲これらの課題の原因
大規模化、高精度化、コンプライアンスの強化などにともないミスが許されない環境となり、個人の担当領域は狭まり、何重にもセーフティネットが張られ、良くも悪くも失敗から保護される環境となった

 

★陳腐化の原因
ミスが許されないプロジェクトが多くなり、新技術や新方式の導入によるリスクが受け入れられづらくなった。

★弱体化の原因

大規模化により若手の挑戦機会が減少し経験値の低いまま権限を持つ人材の増加⇒全体の弱体化。

今後の基盤エンジニアの「あるべき姿」

 

上記にあげた課題に対し、本来基盤エンジニアのあるべき姿はどういったものか、そしてそれを達成するために必要なことはなにか、ということを考えてみたい。

 

■あるべき姿

[改善]ではなく[改革]を牽引する存在

IT技術を使うのに、技術に明るい専門家が絶対必要な時代は終わった。新興企業などでは、サーバ技術を持たない業務アプリケーションのエンジニアが、AWS上のテンプレートを元に作ったサーバ上で、立派なサービスを問題なく稼動させている。

 

 

これまでのように、細かい改善を提案していても「競争力」にはつながらない。
勿論、改善の提案も無駄ではないが、ただの便利屋の域を脱することはできない。

 

 

同じ便利屋なら安いほうがいいので価格競争になる。⇒結果として、競争力は低下。上記のような背景から、「改善」ではなく、「改革」を牽引する存在になっていく必要がある。

 

 

「改善」と「改革」の違い

「改善」:既存の課題を解決し、現状の延長線上で競争力の向上を達成すること

「改革」:ゼロベースで考え、時には抜本的にやり方を変え競争力の向上を達成すること

 

基盤エンジニア自身もリスクをとってテクノロジーを担ぎ、営業部隊のネットワークを使って営業をかける。など。顧客ニーズの発生を捉えるところからはじめるのではなく、顧客ニーズを喚起する存在になるべき。

 

■そのために必要なこと

新たな【能力】の定義
これまでの基盤エンジニアの競争力の源泉だった【能力】は既に陳腐化しているという仮説のもと、今後の基盤エンジニアに求められる【能力】を再定義する。

 

再定義した【能力】に基づき、あるべき姿を達するために必要な人的リソースを整理しなおし、教育や人材獲得につなげる。

 

人材の流動化

 ・新たな技術を獲得するために外部からの人材の流入を促進する。
 ・次世代を担う人材に多様な経験を積ませるため組織内での配置転換を活性化する。
 ・時短やテレワークなど多様な働きかたを認め、人材プールを拡大する。

 

まとめ

本稿では大手SIerにおける「基盤エンジニア」の抱える課題と今後の取り組みに関して記載したが、SIerに限らず本稿で触れた内容は、日系の大手企業では多くの現場で当てはまる部分があるのではないだろうか。

 

組織の規模や様相が変化すれば、それがもつ課題も変化していく。我々SEは、今後より激しくなる変化に対応できる組織を作っていく必要があるのだ。

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