現役のSEに、SEの仕事についてインタビューするこのシリーズ、四人目にお話を伺ったのは、国内大手SIerでシステムインフラのサービス設計、開発、運用に携わる男性SEのDさん(入社10年目)です。
Dさんのプロフィール
入社前のことを教えてください。
理系の大学院で、電気系を専攻していました。大学時代は、研究で利用するWebシステムを構築したり、研究室のサーバ管理などを行っていたので、SEの仕事については馴染みやすかったと思います。
趣味・休日の過ごし方を教えてください。
こう言うと仕事人間のように思われるかもしれませんが、IT業界関係の情報収集を半分趣味、半分仕事で行っています。
仕事では年次があがるにつれてソースコードを直接書く機会は減りましたが、プライベートではPythonなどで良くプログラミングを行っています。先日も、ハッカソンに出場してきたんですよ。若い人たちと一緒に新しい技術に触れるというのは、とても良い刺激になります。
SE Tips: ハッカソンとは?
IT関連のイベントで、サービスに携わる様々な役割の人(プログラマやUIデザイナーなどもの作りをする人からプロジェクトマネージャまで)が集まり、集中的に作業をするイベントのこと。昨今ではイノベーション創出の場として、企業などの協賛で開催されるものやAIなど特定のテーマ性を持ったものも多い。
参考:Wikipedia
担当業務について
どんなお仕事をなさっているんですか?
クラウドサービスの保守運用を担当しています。現在は、システムの大型バージョンアッププロジェクトにアサインされて、要件定義を行っています。システムインフラはクラウドサービスの普及により変化が非常に激しい領域です。新しい技術や業界動向を取り入れることは勿論ですが、お客様の特性に合わせた提案をすることも重要です。
例えば、サービス業向けの提案であれば新しい技術もどんどん取り入れ、スピードやコストを優先した提案をする。一方で公共系であれば最新技術をどんどん適用するというよりは、きちんと実績があって安定した技術を根幹にすえた提案をする。といった具合です
仕事のやりがいを教えてください。
入社以来、保守運用よりはプロジェクトに配属されることが多かったのですが、プロジェクトを無事に完了させることで得られる達成感は仕事のやりがいといえるかもしれません。後はやはり、私はエンジニアですから、技術を使って顧客の経営戦略を支援できることはやりがいですね。
どんなときにモチベーションがあがりますか?
チャレンジングな目標を与えられたときです。技術的に新しいものがなくても、例えば納期が短いとか、そういった制約条件でも良いのですが難しい課題に挑戦するときには燃えますね。
あとは、リリースを終えて無事に稼動しているのを確認したときです。自分が設計したインフラが無事に稼動して、利用者がログインしてきて、機能を使っているのを確認できたときには安堵とともに、次の仕事へのモチベーションが沸いてきます。
逆に、さがるのはどんなときですか?
SEであれば誰しも経験があると思うのですが、無計画で丸投げされるのは困ってしまいますね。特に、システムインフラ部分というのは、業務要件に直接的に関係してこない場合もあるためどうしても軽視されがちです。
ですが、業務要件を滞りなくシステム化するために、システムインフラは欠かせない存在です。人と人が一緒に仕事をする以上、きちんと互いの力を合わせてプロジェクトを進めたいですね。勿論、システムインフラを担当する人間からも、積極的に、要件定義など上流の議論に参加していくべきだと思います。
最も大変だった経験を教えてください。
数年前に、官公庁向けシステムの新規構築プロジェクトに携わったときのことですがプロジェクトを進めていく中で要件がころころ変わり、肉体的にも精神的にも非常にすり減らしました。連日、夜の20時まで会議を行って、その後に翌朝の会議用の資料をまとめる。ということを繰り返していました。
システム開発プロジェクトの要は要件定義というのはよく言われることですが、それを身をもって体験したプロジェクトでした。
転職を考えたことがありますか?
過去に転職を考えて色々な会社を見ていたことはありますが、結局思いとどまりました。当時の自分は、今いる環境に嫌気がさして、逃げだすような形で転職先を探していました。ある時それではダメだということに気がついて、自分が新しい職場で何を手に入れたいのか、ということを考えてみたら、今の職場でも出来るじゃん、ということに気がついて、それからは転職活動はやめました。
隣の芝は青く見えるので、今自分がおかれた環境で出来る限りのことをやってみることも大切だと思います。
SEに就職を決めた決め手は何ですか?
もともとIT系の技術に興味があったので、IT業界で就職活動を行うことに違和感はありませんでした。SEに決めた理由は、意外と調整ごとというか、人間系の部分も好きだったからです。
当時所属していたバドミントンサークルでは副リーダーを務めており、人と人の間にはいって調整したり、時にはリーダーシップを発揮したりといったことが、好きだったんですね笑。それで、就職活動の中で、今の会社で仕事内容を聞いて、意外とそういった部分が重要視される仕事だということを知って、自分の能力と経験が活かせそうだと思いました。
結局どんなに優れた技術も「どう使うか」ということを考えるのは人間で、それを上手く形に出来なければ宝の持ち腐れですからね。
自分の強みや特徴をよく分析していて、自然体で仕事に向き合っているDさんは、現場の後輩たちからも目標にされる人物だと、Dさんの上司の方が教えてくれました。また、インタビューをしている短い時間の中ですら、包容力と熱さを感じさせる方でした。
本稿で紹介した内容が、IT業界でSEに興味を持っている就活生の皆さんや、SEの仕事をもっとよく知りたいと考えている読者の皆さんの参考になれば幸いです。
こんな観点でインタビューして欲しい、こんな情報も公開して欲しいというご要望があれば是非コメントください。
コメントを残す