この記事の対象読者:
- テレワークの活用を考えている現場SE
- SE(IT業界)を志望していて、ワークライフバランスに興味のある就活生
- テレワークの導入を考えている働き方改革推進担当
この記事を読んで得られるもの:
- テレワークとは?テレワークの概要
- テレワークの利用者がテレワークを最大限に活用する方法
- テレワークを導入する際に注意すべき点とその対処法
昨今、日本でも「働き方改革」が叫ばれて久しい。安倍内閣が推進する働き方改革では、個々人のワークライフバランス(仕事とプライベートが個々人に合った適切なバランスで実現されている状態)の実現を目標とし、個々人の置かれた状況や環境に合わせた多様な働き方を認める社会を目指している。
「働き方改革」の背景には、日本の抱える以下のような課題が存在している。
- 少子高齢化による労働人口の減少
- 先進国の中でも突出して低い生産性
- 長時間労働の常態化
これらの課題は、政府や日本の大手企業だけの問題ではなく、日本で働く私たちにとっても重要な問題である。本稿ではテレワークというキーワードを取り上げ、私たちSEが「働き方改革」にどのように取り組めばよいのかを考えてみたい。
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テレワークとは?
テレワークとは、従来のオフィスだけではなく、場所や時間にとらわれず柔軟な働き方で業務を行うことである。テレワークの推進には、ITツールの活用などハード面の整備に加えて、勤務ルールの改正やテレワーク用の成果管理方法などソフト面の整備も必要となる。
昨今の仮想化、クラウドサービス化の流れやITツールの発達により、SEの業務は、顧客先の端末設定などの一部の業務を除くと、現場に赴く必要が無いものが増えてきている。SEの業界でも、業務を家やサテライトオフィスで実施する「テレワーク」が働き方改革の一つの形として普及しつつあるのだ。
テレワークのメリットとデメリット
メリット
・育児/介護との両立が可能
育児や介護などでフルタイムで勤務できない人や、家を離れられない人でも自宅にいいながらにして仕事をすることができる。雇用する側からしても、優秀な人材だが育児や介護と言った事情で活用できていなかったリソース(社員)を活用することができることは大きなメリットである。
・通勤時間を節約できる
通勤時間を業務の時間にあてることができる。単純な移動時間の節約だけでなく、スキマ時間を生まないと言うことも重要だ。
通勤にあたっては、外出の準備をして駅まで移動し(電車通勤の場合)、電車を待って乗車し、職場の最寄り駅から職場まで移動する、という過程の中で発生するスキマ時間は活用が難しく、純粋に無駄にしてしまっている人が多いのが現状だ。
通勤時間が長い人ほど効果が高く、乗車する電車が混雑している場合には体力を無駄に消耗することを抑えることもできる。
・家族と過ごす時間ができる
仕事中とはいえ自宅にいるため、家族と過ごす時間が増えることになる。昼食を一緒にとったり、休憩時間に会話したりと、勤務しながらにして家族との時間も大切にすることができる。
・プライベートの充実につながる
休憩時間を趣味の時間にあてたりすることでプライベートを充実させることができる。仕事の後も、自宅に帰る時間が無く(少なく)すぐに自分の時間に切り替えることが出来るため、アフターファイブもこれまでよりも充実した時間を過ごすことができる。
・通販を利用しやすくプライベートの時短にもつながる
買い物に行く時間が無いので消耗品などは通販を利用したいが、日中は家にいないので受け取れないため、泣く泣くスーパーに買いに行っている、といった場合にはテレワークにをすることにより通販で購入した宅配便を受け取ることが出来るようになる。
また、認められているかは会社によるが、ダブルワークを行っている人なども、テレワークのメリットを教授することができる。例えば物販ビジネスを行っている場合などはこれまで仕事終わりにしか出来なかった商品の発送をよりタイムリーに行うことができるようになる。
・集中できる
自宅の環境にもよるが、周囲の雑音が無いため集中できる。自宅のワークスペースのレイアウトを工夫することで自分の集中する環境を作り上げることもしやすい。
デメリット
・他チームメンバーとのコミュニケーションがとりづらい
これまで同じオフィスにいたので気軽に声をかけることが出来たチームメンバー同士の会話がしづらくなる。必要なコミュニケーションはSkypeなどチャットツールで問題なく実施できるが、わざわざツールで接続するほどでない、ちょっとした雑談から生まれる関係性も大切である。
・サボりの発生
勤務時間の管理が適切に行えず、きちんと働いているのかの管理が難しくなる。場合によってはテレワークであることをいいことにサボる人が出てくる可能性がある。
・見えない残業が発生する懸念
同じく勤務時間の管理が適切に行えないことに起因し、ダラダラと長時間労働してしまったり、限界を超えて働き続けてしまったりする可能性がある。
・Outputが見えにくい
上司から働いている姿が見えず、職種によってはOutputが見えづらい。明確な成果物が定義できていない場合などは、現場からすると、「きちんと働いている」ことを上司にアピールしづらい。
・迅速なシステムトラブルのフォローが出来ない
SEの重要な職務の一つに保守運用がある。提供しているサービス(システム)が健やかに稼動していることを見守り、何かあったときに対応する業務だ。
環境によるが自宅からのシステムへの接続が制限されていたりする場合などは、迅速なシステムトラブルフォローが出来ずサービス運営に支障をきたす場合がある。
参考記事:
・ブレストなど一部のディスカッションがしづらい
ITツールの活用で会議を行うことはできるが、ブレインストーミング(アイデアを沢山出すことを目的として集団で意見を発散させるMTGの形態)などは、会話のタイミングがぶつかったりして、リアルタイムでないとやりづらい場合がある。
・集中できない
自宅が集中できない環境(例えば、ペットがいたり工事現場が近く似合ってうるさいなど)にある場合、オフィスと比較して生産性が落ちる可能性がある。
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テレワーク導入のポイント
先述したテレワークのメリット/デメリットを踏まえ、テレワーク導入時のポイントを紹介する。この項目は、どちらかと言うとテレワークを推進する担当の人向けの内容だ。
・勤務時間に関しては極力同じルールを適用する
テレワークを行う場合とそうでない場合で極力、同じルールで勤務時間の管理を行おう。例えば、物理的なタイムカードを使っている場合は、IT化しシステム上で入力できるように統一したり、VDI(仮想デスクトップ)を使っている場合は、オフィスからでも自宅からでも一律、接続時間を自動的に計測するなどの仕組みが必要だ。
・コミュニケーション活性化のためのイベントを行う
テレワークで働く社員同士やオフィスで働く社員を交えて、リアルで集まるイベントを開催しよう。凝ったイベントでなくとも、ランチに行くとか飲み会をやるとか、そういった交流会で十分だ。画面上でしかあったことがないのと、一度対面であったことがあるのでは、その後のコミュニケーションの質も大きく違ってくる。
・機器を支給し環境を統一する
導入にあたっては、利用するIoT技術は同じハード、ソフトウェアで統一しよう。また、MTG用のヘッドセットなどはテレワーク利用者に支給するなどすれば導入マニュアルも統一され、問い合わせの削減にもつながる。
・システムトラブル時の訓練を行う
保守運用を行う人がテレワークを利用しているときを想定した訓練を行っておこう。連絡フローや自宅からのシステムトラブルフォローに課題がないかなど、平時に一度試して課題がないか確認しておこう。
・状況を共有する仕組みを作る
上司やチームメンバーがテレワーク利用者の状況を把握できる仕組みとルールが必要だ。状況とは、いま作業中なのか、休憩中なのか、移動中なのかといったものである。グループウェアを利用するなどルールを定め、徹底することが必要だ。
・顧客の理解を得る
SEの仕事に限らず、ビジネスはお客様あってのものなので、当然、働き方改革のためには顧客の理解が不可欠である。テレワークに際しても、顧客からの問い合わせはチームメンバーがフォローしたり、お客様にテレワークであることを伝え緊急時は携帯に連絡をもらう、などの対応が必要だ。
まとめ
テレワークは新たな時代の働き方の一つとして、今後確実に普及していくことになるだろう。そうなったときの
また、テレワークはあくまで、勤務形態の選択肢の一つであり従来の働き方が失われるわけではない。自身の置かれた環境やプロジェクトの状況に応じて使い分けることで最大の効果を発揮することができるだろう。
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