来週(11月中旬)予定されていたビットコインのハードフォークが中止されました。日本時間の11/9に、Segwit2xを推進していたMike Belshe(マイク・ベルシェ)氏は、SegWit2xのハードフォーク計画の中断を宣言しました。
マイク・ベルシェ氏は米国のビットコイン関連企業 BitGoのCEOであり、Segwit2xの計画を推進しており、17年5月にブロック中のデータサイズを圧縮する「Segwit」の導入に成功しました。続く計画として、ブロックサイズの拡張を17年11月に予定していました。
Segwit2xの概要はこちらの記事も参考にしてください:
Segwit2xの中止の理由
ビットコインコミニュティに宛てた声明の内容から、中止の理由は「コミュニティ内でのコンセンサスが得られなかったため」とされています。
具体的には、今回のブロックサイズ拡張は幾つかの課題を内包しており、それらがビットコインのコミュニティに与える影響を考慮した結果、ハードフォークはすべきではないという結論に達したようです。
その課題とは、大きく以下のようなものです。
互換性の問題
ビットコインのブロックサイズを拡張するという仕様変更は、「ブロックサイズを拡張した新しいビットコインを今あるビットコインのデータをコピーして作る」とも言えます。つまり、現状のビットコイン(BTC)とブロックサイズ拡張後のビットコイン(B2X)には互換性がなく、新たな通貨として拡張後のビットコイン(B2X)が誕生することになります。
過去、ビットコインキャッシュがハードフォークされた際にも同じことが起こりました。今回、問題視されたのは従来のビットコイン(BTC)と拡張後のビットコイン(B2X)のどちらが正当なビットコインかという点で、B2Xが正当なビットコインという流れになると拡張前のBTCの価値が下がることが懸念されていました。こうした動きがビットコインのコミュニティに良くない影響をあたえるということで、コミュニティの中でも反対していた人がいたというわけです。
リプレイアタック問題
Segwit2xのハードフォークにはリプレイアタックという攻撃に対する脆弱性が指摘されており、この脆弱性に対する対策は行わないという声明が出ていました。
リプレイアタック問題とは、ハードフォークによってブロックチェーンが分岐し、同じトランザクションが複数の台帳に分裂した状況で、片方の台帳で有効となったトランザクションが、もう一方の台帳でも有効となってしまう、という問題です。この脆弱性を攻撃されると、意図せず2重送金が行われてしまう可能性があります。
ビットコインは今後どうなるのか
処理時間の問題は依然として存在
ビットコインは、利用者と取引データ量の増大に伴い、取引確定の処理に非常に時間がかかるようになってきています。この課題に対するアプローチとしてSegwit2xで計画されていたデータ圧縮とブロックサイズ拡張があったのですが、今回の中止により、処理時間の課題は残ったままとなります。
そのため、いずれはブロクサイズを拡張を再検討するのか、あるいは他の方法で処理時間を短縮するのかという検討をする必要があるでしょう。ビットコインは、数ある仮想通貨の中において、極めて安定的な立場にある通貨といえます。しかし、それでもなお多くの課題が残っていることは紛れもない事実であり、今後もビットコインの動向には注意を払っておくべきでしょう。
また、ビットコインに投資を行っている人はそうした課題をきちんと把握し、自身のリスクの許容量の中で投資を行うことが重要です。
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