特許と言うと研究職に関係があるものというイメージがある人もいるかもしれないが、実はSEにとっても身近な話である。中には勤務先の会社で特許取得が推奨されていたり、ノルマになっているなどと言う場合もあるだろう。
昨今ではIT技術を活用した特許が数多く出願されており、SEが特許出願すると言うことも一般的になってきている。自分には円どおりはなしと感じるかもしれないが、例えば担当した案件で取り組んだ内容を特許として出願することが出来れば、自分自身のキャリアや経験としても非常に有用だ。
本稿では、特許取得に関してその流れや概要、SEの特許取得について紹介したい。
[adsense]
1.特許とは?
特許制度とは新しいアイデアを国が審査して、独占権を与える制度である。登録された特許はその内容を公開することが義務付けられる。
アイデアを事業化する際には、特許登録することにより、独占権を取得し、それを宣伝して顧客獲得を狙う戦略がある。一方で、取得した特許は公開されてしまうため、ノウハウを秘密に管理することを選択する戦略も存在するする。例えば、コカ・コーラ(Coca-Cola)の製法などは、敢えて特許を取得せずに秘密裏に管理することで長年の競争優位性を保っている。
2.特許の対象は?
特許の対象は、「特許法第2条に規定される発明、すなわち、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものを保護の対象とします。」と定義されている(特許庁の記載から引用)。少し難しい表現だが、ようは技術的な発明(アイデア)を対象としているということである。
3.特許権を取得する方法は?
特許権を取得するためには、特許庁への特許出願を行う必要がある。その際には、特許の明細書や図面等を添付する必要がある。出願を行ったら、そこから3年以内に審査請求という手続きを行い、特許の審査を受けることになる。審査請求を受けて、特許庁での審査が行われることになるがこの審査には1~2年かかることになる。
晴れて特許が認められれば、出願から20年を期限として独占的に特許を使用することが認められる。出願から大まかな流れは以下の図の通りとなる。
図. 特許出願から承認までの流れ
4.特許をとると、どんなメリットがあるの?
特許をとることによるメリットは、以下のようなものがある。先に触れたように、あえて特許をとらないことで技術の公開を防ぐと言う方法もあるためビジネス戦略次第ということは念頭において欲しい。
特許取得のメリット
・アイデアを独占できる
特許として認められた技術を独占することが可能となり、自社(自分)だけの競争力となる。
・特許取得している技術であることが宣伝になる
商品の広告文句などに「特許出願中」という表記を見かけたことがあると思うが、特許として認められていると言うことが信頼につながり、宣伝効果が得られる。
・ライセンス料が得られる
特許を第三者が利用する際のライセンス料を得ることができる。
5.SEはどんな特許をとることができるの?
ソフトウェアにも特許があるので、システム開発の過程で作成されるソフトウェアの技術を特許として申請することが可能だ。何かを実gんするためのシステムそのものであったり、それを実現するためのアルゴリズムなども特許出願が可能である。
以下のリンクから特許を検索することが可能なので、どんな特許が登録されているか見てみるとイメージがわくだろう。
(参考サイト)特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage
例えば、2017/08/19時点で「ソフトウェア」のキーワードで検索すると、66549件の登録があった。
図. 「ソフトウェア」での検索結果
ただし、アイデアそのものは特許出願に出願に当たっては、表現方法や観点などを工夫する必要がある。弁理士や、会社に所属していれば知的財産管理を担当している部門など専門家に相談してみよう。
まとめ
特許取得はハードルの高いものだと捉えられがちだが、ビジネスをする上では非常に重要な要素である。
SEとして働いていると普段はあまり機会が無いかもしれないが、携わっている案件で特許を取得できるような部分はないか、一度検討してみて欲しい。そして、可能であれば特許を出願してみると今後退キャリアにも非常によい経験になるはずだ。
コメントを残す