SEの仕事でプレゼン資料を作る機会は多い
SEの仕事はプログラミングや設計資料の作成が主だと思われがちだが、提案やソリューションの説明などでPowerPointやKeynoteを使った資料を用いる場合も多い。
学生時代にもプレゼンテーション用にスライドを使って発表した経験のある人もいるかもしれないが、ビジネスにおいては、よりクオリティの高い資料が求められることは言うまでもない。
本稿では新人SEがまず身に付けておきたい「プレゼン資料作成の基本」について考えてみたい。
パワポ資料作成時に抑えておきたい6つのポイント
スライド資料を作成する際には以下の6つのポイントを必ず抑えておこう。もし専門的な知識が不足していたとしても、基本的なポイントが抑えられていれば、ある程度のクオリティの資料を作成することが出来る。不足している専門知識は先輩SEや周囲のフォローを受けて補完すればよいだろう。
1.誰に何を伝えたいのかを明確にする
プレゼンテーションを「誰に」行うのかということを一番最初に明確にしよう。対象が明確になったら、その人に対して「何を」伝えるためのプレゼンテーションなのかということを考えよう。
例えば、新システムのプレゼンテーションを現場のエンジニアにする場合と、経営層にする場合では相手が欲している情報や、こちらが相手にして欲しいことも異なっている。経営層はシステム導入による費用や効果、リスクが気になる点だと想定されるし、現場のエンジニアに説明をする場合はシステムのアーキテクチャや使用される要素技術などが気になるだろう。
プレゼンの目的を最初に明確にして、相手にあった「伝わる」資料を作成しよう。
2.最初にアウトラインを考える
いきなりスライドの作成に着手せず、最初にアウトライン(あらすじ)を検討しよう。いきなりスライド作成に着手すると、時間をかけて作ったスライドが最終的に不要になってしまったりと非常に効率が悪い。
まずは、メモ帳に殴り書きでも良いので、プレゼンテーションのストーリーとアウトラインを考えよう。どんな流れで発表を行い、誰に何を伝えたいのか、そのために必要なスライドはどんなものなのか、といったアウトラインを最初に固めておけば、どのスライドに力を入れるべきなのかわかりやすい。
3.視線の流れを統一する
スライド中の要素の順番はスライド全体を通して統一感を持たせ、聴衆の視線の流れが一定になるように配慮しよう。
基本的には、要素は左から右へ、上から下へと配置することに注意すれば良いだろう。システム構成図などを表現する場合は要素間の関連がバラバラに表現されてしまう場合も有るが、その場合はデザインや色などを工夫して、強調するポイントとそうでないポイントにメリハリを付け、聴衆がどこに注目すればよいのかわかりやすくしよう。
4.文章をコンパクトにする
後日配布するための資料であれば別だが、プレゼンテーション資料に長い文章をだらだら書くべきではない。
その場で文章を読み上げるのであればプレゼンターは不要だし、文章が長いと相手の集中力を奪い、結局何が言いたかったのか伝わりにくくなってしまう。
文章の中でキーとなるメッセージは何か、ということを自問自答し、スライド中の不要な文言を極力少なくコンパクトにしよう。
5.1スライド1メッセージにする
1枚のスライドで伝えるのは1つのメッセージのみということを意識しよう。情報を詰め込みすぎると、何を伝えたいのかがぼやけてしまい聴衆は理解しづらい。
伝えたいメッセージが複数有る場合はスライドを分割して1スライド1メッセージとなるようにしよう。玉座(スライドの上部に記述するメッセージ)にそのスライドで伝えたいメッセージを一言で表すように文章を考えよう。
玉座にメッセージが収まらない場合は、考えが足りず言いたいことが洗練できていなかったり、複数のメッセージを持ってしまっている可能性がある。スライドを分割すべきではないか検討してみよう。
6.無意味に多くの色や図形を使わない
無意味に色や図形を使うことを避けよう。1枚のスライドの中でも勿論だが、スライド全体を通して同じ色や図形がスライドによって別の意味で使われていたりすると聴衆は混乱する。
デザインに統一感を持たせて、必要最低限の色や図形を使うようにしよう。また、スライド全体を通して、同じ色、図形は同じ意味を持たせるようにしよう。視覚的にスライドが洗練されるだけでなく、伝えたいポイントが聴衆にわかりやすくなる。
まとめ
スライド資料作成はSEなら誰でも必要とされるスキルといっても過言ではない。また、本稿はPowerPoint術と銘打っているが、ここで紹介した基本はKeynoteなど他のプレゼンテーションツールでも同様に使うことが出来るし、時代が変化しても使える普遍的なものである。
新人SE時代から積極的に機会を持って、効果的なプレゼン資料作成の基本を身に付けておけば、この先のSE人生で非常に役に立つものとなるだろう。
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