最強SEの権限委譲 ~「自分でやるほうが早い」の危険性~

何でも自分でやってはならない

職場で、人に頼むより「自分でやる方が早い」と感じることはないだろうか。業務に慣れてきた若手リーダー層で、優秀な人材ほどそのように感じている傾向が高い。

 

 

確かに、その場面を切り取ってみると、自分でやったほうが早い場合は多々ある。しかし、しかし、長期的な視点に立って考えてみると「自分でやったほうが早い」を続けていくと、組織の力を活用できるようにならず、伸び悩む可能性が高いのだ。

 

 

本稿を参考に「自分でやるほうが早い」と感じたときに、少し視点を変えて組織の力を活用し、組織を育ててチームワークで戦うという視点で上司から部下への権限委譲をうまく行えるように考えてみてほしい。

 

 

なぜ「自分でやるほうが早い」は危険なのか?

なぜ「自分でやるほうが早い」は危険なのだろうか。その理由は、なんでも自分で出来る人間が何でも自分でやってしまうと結果的に「誰も新しいことが出来るようにならない」状態が生まれるからである。

 

どうしてこのような状況になるのかもう少し考えてみよう。

 

リーダーの出来ることが多く、自分で全ての仕事がさばけるので、部下にやらせるより自分がやったほうが早いので自分でやってしまう。その仕事は成功裏に終わるが、当然、部下はその仕事を出来るようにならない

 

そうした仕事が次々に増えてくると、いかに要領の良いリーダーといえど忙殺され身動きが取れなくなり、新しいことにチャレンジできなくなる

 

結果として、誰一人新しいことにチャレンジすることが出来ず、組織の成長は止まってしまう。上記は極端な例だが、「自分でやったほうが早い」という考え方は、組織の成長を阻害し、将来的に破綻する可能性をはらんでいるのだ。

 

組織の力を活用するためには組織を構成する人を育て、組織を成長させながら自分も新しいことに挑戦し続ける必要がある

どう任せればよいのか

 

 

部下に任せるといっても、無茶な仕事を丸投げせよ、という意味ではない。リーダーたるもの、部下にチャレンジさせつつ仕事の成果物に対する品質を担保することが必要だ。そのために重要なポイントは以下の通りだ。

 

ポイント

・手を出さない

当たり前に思うかもしれないが、リーダーが手を出さないことは重要である。はじめは誰でも手つきがおぼつかず、はたから見ると危なっかしくみえるが、信じて見守ろう。

 

・信頼感を表現する

部下を信頼して、出来ると信じていることを相手に伝える。口で言うだけではなく、自分自身に相手の可能性を信じているか、問いかけてみよう。信じて期待している気持ちは相手に伝わり、信頼関係の構築につながる。部下は、信頼している上司の期待にこたえたいと思うはずだ。

 

・見守る

進捗は大丈夫か、課題が発生していないか、間違った方向に進んでいないかということをしっかりと見守ることが必要だ。自分がやればもっと早いという気持ちを抑えて手を出さず、かつ状況をしっかりと見守るのは難しいことだが、仕事の責任は部下にもあるし、上司である自分にもあるのだ。

 

・自分で考えさせる

部下が間違えそうになったときには、答えを教えるのではなくヒントや、部下の気づいていない新たな視点からの意見を与えてあげよう。自分の失敗談を共有することも、誤りを事前に防ぐことに有効だ

 

・失敗を受け止める

失敗や間違いは成長の大きなチャンスだ。仕事の成果に致命的な影響が出るような失敗はリーダーが責任を持ってとめるべきだが、そうでない場合は失敗を責めるのではなく、考えるきっかけを与えることで、次につなげる糧としよう

 

特に、部下が失敗した場合にはリーダーが過ちを指摘して正す、というスタンスではなく一緒に改善する方法を考える、というスタンスでいることが重要だ。

まとめ

部下に任せるということは、自分でやってしまうことよりもずっと難しい。それもそのはず、優秀なリーダーは自分が既に出来ることをやっていてはならない。既に出来る人はもっと難しいことにチャレンジし続けなければならないのだ。

 

部下に仕事を任せてチャレンジさせるとき、自分もまたリーダー・マネージャーとしてチャレンジの時なのだ。

 

自分でやったほうが早いと感じたときには、部下に任せられる仕事ではないのか、ということを自問してみてほしい。それを考えることが、リーダーとして強い組織を作ることに繋がるのだ。

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