本稿では工数見積もりについて、2分で読めるボリュームに要約して紹介する。
1.工数見積もりとは
プロジェクト完遂のためにどの程度の費用がかかるのかを推測すること。
ITシステム構築にはサーバ代やアプリケーションのライセンス費などに加えて人件費がかかるが、それらを含めてどの程度の費用がかかるのかを計算することだ。
通常、最初は荒い粒度で、徐々に精緻にといった具合に複数回の見積もりが行われることになる。
2.システムの工数(開発規模)見積もり法の種類
大きく分けて以下の3つの方法がある。
○類推法
過去の類似のプロジェクトの実績値を元にして算出する方法。見積もり担当者の経験値によって見積もり精度が変化する。
メリット
- 見積もり自体を素早く算出できる
- 酷似しているプロジェクトに対しては高い精度で算出できる
デメリット
- 見積もり漏れ(※)が発生しやすい
- 精度が悪く粒度が荒い
※見積もり漏れ
必要な機能や作業が見積もり範囲から漏れてしまうこと。後で発覚すると予定していなかった費用が必要になるため、関係者の調整が非常に大変。
○ボトムアップ見積り法(工数積上げ)
プロジェクトの要件を具体的な作業に落とし、それぞれの作業の所要時間を見積もり、それらを合計して全体工数とする方法。
メリット
- 細かい作業までブレイクダウンするため精度が高い
- タスクと所要時間を最初に算出するのでスケジュールが立てやすい
- 見積もり漏れに気付きやすい
デメリット
- 見積もり自体に時間がかかる
- 担当者にタスクを分解できるだけの経験値が必要
○パラメトリック法(係数モデル)
システムの入出力ファイルや画面の数など定量的情報から機械的に工数を算出する方法。
メリット
- 経験の浅いシステムの見積もりも可能
- 一般に知られているモデルを元に計算するので顧客への説明がしやすい
デメリット
- 要件が固まらないと見積もりが難しい
- それなりに時間がかかる
3.まとめ
SEにとって見積もりはある意味で上の役職への登竜門的なスキルである。すなわち、プロジェクトのメンバーやステークホルダーたちから情報を集めて、それなりの規模のプロジェクトの見積もりを出すことがリーダーには求められる。
また、それぞれの見積もり方法にはメリット/デメリットがあるため、どの見積もり方法がベストなのかは、ケースバイケースである。
見積もりは理論を知っていても、実際に実践してみないとわからないことも多いので、どんな手法があるのか概要を押さえた上で、経験を積んで習得していこう。
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