最強SEのコミュニケーションツール(後編)

 

ツールの特徴をよく理解しよう

前編ではコミュニケーションツールの定義を行い、代表的なコミュニケーションツールとして、口頭でのコミュニケーションの特徴と注意点を考察した。後編ではいよいよ、メールやチャットといったソフトウェアの活用についても考えていきたい。

 


 

3.メール

 

コミュニケーションコスト

自分の負担 ★★☆☆☆
相手の負担 ★★☆☆☆

 

コミュニケーションの質 ★★★★☆

 

特徴

・非同期型のコミュニケーションツールである

・多くの情報を一度に送付できる

・複数の人間に同時に同じ情報を伝達できる

・履歴が残しやすい

 

有効な場面

・議事録など、口頭で話し合った内容に認識相違がないことを周知する場面

・構造化された複数の情報を連携したい場面

 

注意点

メールの一番の特徴は、その非同期性にある。すなわち、相手の状況を気にせず送信することができるという点だ(勿論、深夜に携帯電話への送信するなど非常識なものは除く)。こちらは相手の状況をあまり気にせず送信することができるし、受信した相手も、忙しければ後で読むという選択ができる。この点は、相手の時間を確実に拘束する口頭でのコミュニケーションに比べてコミュニケーションコストの面で優れている点だ。

 

しかし、こうした特長があるがゆえに、相手がメールを見てくれたかどうかが分からなかったり、いつ返信がもらえるかということが分からないという点には注意する必要がある。重要な内容であったり、緊急の内容の場合には電話でのフォローが必要になるだろう。

 

また、メールの特徴の一つとして、複数のあて先に同時に情報を伝達することが容易だということがあげられる。資料や議事録など、複数人で認識相違がないことをチェックするためには非常に有効な手段であるが、必要のないあて先を含めてしまうことには注意が必要だ。

 

無駄なあて先と無駄なメールを読んで失われる時間は、想像している以上に大きい。あて先には必要最小限の関係者のみを含めるよう、意識しよう。

 

4.チャット

コミュニケーションコスト

自分の負担 ★★★☆☆
相手の負担 ★★★☆☆

 

コミュニケーションの質 ★★★☆☆

 

特徴

・非同期型のコミュニケーションツールである

・リアルタイム性が高い

・複数の人間に同時に同じ情報を伝達できる

・履歴が残しやすい

 

有効な場面

・現場の細かい状況のやり取りなどのうち緊急性が高くないもの

・リアルタイム性が要求される作業のうち複雑でないもの

 

注意点

チャットツールはメールと電話の特性を併せ持ったコミュニケーションツールである。基本的には双方がオンラインな状態でテキストメッセージをやりとりするが、オフラインの相手も後からログを参照できたり、オンラインであっても別の作業をしながらチャットすることもできる。そのため相手の時間を奪う、という口頭でのコミュニケーションの欠点が克服されている

 

テキストメッセージでのやり取りとなるため数字など正確性が要求される情報の伝達が得意であることや、複数名に同時に情報を伝達できる、履歴を保持できるなどのメールの利点を持ちながら、相手の状態が分かることでリアルタイム性のあるやり取りが可能であるという口頭の利点を兼ね備えている

 

注意しなければならない点としては、メールや電話と比べるとやや特殊なインフラが必要となるため、関連メンバーに対する啓蒙が必要なことと、複雑で多量の情報をやり取りする場合には、そのままチャットツールで発信するととても見辛いので、別の媒体にまとめて連携するなどしたほうがよいだろう。

 

5.グループウェア

コミュニケーションコスト

自分の負担 ★★☆☆☆~★★★★☆
相手の負担 ★★☆☆☆~★★★★☆

 ※ツールやカスタマイズに依存

 

コミュニケーションの質 ★★★☆☆~★★★★☆

 ※ツールやカスタマイズに依存

 

特徴

・タスク管理やスケジュール管理など個別の用途に最適化されている

・カスタマイズ性が高い

・チームでの情報共有に強い

・個別に設定を行ったり、使い方を定義する必要がある

 

有効な場面

・チームで頻繁に情報連携を行う場面

・プロジェクトで関係者全員がツールを使用する場面

 

注意点

グループウェアは、その名のとおりグループでの仕事をスムーズに進めるためのコミュニケーションツールである。各社から様々な製品が出ており、複数人での作業において情報共有を行う際に適切なものを選択できれば非常に有効だ。

 

注意する点としては、関係者全員がグループウェアに情報を集約する仕組みを作ることと、使い方のガイドラインを予め決めそれを周知徹底することだ。

 

折角のグループウェアも情報が集まらなければ効果を発揮できない、そのため全員ができるだけ情報を集めるように運用することが大切だ。また、情報を集める際に、情報の共有ルールなどを適切に定めておくことでより効率を高めることができるだろう。

 

(番外編)契約書

フォーマルなコミュニケーションツールの一つとして契約書でのやり取りがあげられる。ここまでくるともはやコミュニケーションが目的か、と違和感を感じるかもしれないが、ビジネス上の最も厳格なコミュニケーションといえる。

 

コミュニケーションコスト

自分の負担 ★☆☆☆☆
相手の負担 ★☆☆☆☆

コミュニケーションの質 ★★★☆☆

 

特徴

・双方の責任が明確になる、最もフォーマルな形式のコミュニケーションの一つ

 

有効な場面

・契約を締結する場面

 

注意点

契約書で取り交わした内容は履行する義務があり、双方に確実に記載内容に沿って行動することを強いる。リアルタイム性は低いが、もとよりそういった情報をやり取りするためのコミュニケーションツールではない。情報の正確性と量は他のツールと比較して最も高いといえる

 

日常的に契約書をコミュニケーションツールに使用することは少ないが、特にグローバル環境下でビジネスを行う場合は注意しよう。背景や価値観の違いから、互いの常識がまったく通用しないということも多々あり、契約書についてもより厳しく内容を精査する必要があるためだ。

 

まとめ

円滑なコミュニケーションは、SEの仕事に無くてはならない重要な要素だ。そして、コミュニケーションの土台となるコミュニケーションツールは、場面や現場によって有効なものが異なる。それぞれのツールの特徴を知り、効果的に使いこなせるようになろう。

 

また、自分自身が使いこなすだけでなく、場面に応じて使い分けを提案できるようになることを目指し、チーム全体の生産性向上を目指そう

 

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