プロジェクトがスケジュール通りにいかないときに調整する方法

本稿ではプロジェクトにおけるスケジュール調整の方法を紹介したい。ITプロジェクトの現場では、想定外の課題が発生し当初予定したスケジュールの調整を余儀なくされるということは頻繁に発生する。

 

本稿では、そうした場合にどのようにしてスケジュールの遅延を挽回するのかと言うことについて考えてみたい。

 

 

QCDのトレードオフを考える

プロジェクトにおいて、QCD(品質・コスト・納期)の3要素はトレードオフの関係にある。そのため、スケジュール(納期)を調整する場合には、他のなんらかの要素に影響が出ると言うのが基本的な考え方である。

 

つまり、必達のスケジュールがあると仮定すると、想定外のトラブルによりスケジュールに遅延が発生した場合は「品質」もしくは「コスト」を調整することでしか挽回することは出来ないのだ。(デスマーチよろしく「残業でカバーするという方法は、例えそれがサービス残業だったとしても「コスト」を投下して挽回していることに他ならない。

 

 

 

「品質」を調整する方法

「スケジュール」を固定した場合に「品質」を調整することで、スケジュールをキャッチアップする方法には以下のようなものがある。

 

・影響度の低いバグの修正をとりやめる

検出したバグのうち、対応を行うものを絞り込むことによりスケジュールを捻出する方法。バグの修正はITプロジェクトにおいて品質向上の要になるタスクだが、余裕を生み出すには重要度の低いバグはそのままにすると言う判断も必要だ。

 

・開発対象を主要な機能に絞り込む

開発対象機能の絞込みを行うことで開発規模を減少させ、スケジュールにバッファを作り出す方法。いざと言うときにどの機能の開発取り止めを検討するのか悩まないよう、事前に優先順位を付けておくと良いだろう。

 

・テストをコアな機能に絞り込む

開発対象の絞込みと同様に、テストのスコープを調整することでタスクのボリュームを減らし、スケジュールを調整する方法。テスト項目を費用対効果の高いものに絞り込むことにより、必要な品質を満たしつつタスクのボリュームを調整することが可能だ。

 

・直列に実行することを予定していたタスクを並行に行う

ファストトラッキング(Fast tracking)とも呼ばれる手法で、例えば、ウォーターフォール型のプロジェクトにおいて、当初はすべての機能の設計書の作成を追え、プロジェクトとして設計工程の承認を行った上で製造工程に進むとしていたものを、出来上がった設計書から随時、次の工程に引渡していくことにより作業を効率化するといった例が挙げられる。

 

 

「コスト」を調整する方法

「スケジュール」を固定した場合に「コスト」の調整で、スケジュールをキャッチアップする方法としては基本的には追加の人員を投入することで挽回する方法である。

 

 

この方法はクラッシング(Crashing)と呼ばれ、最小の追加コストで最大の効果を発揮するポイントを見極めて追加の人的リソースを投入する。基本的には、クリティカル・パス上のタスクに対して要因の追加を行う。

 

 

まとめ

現場では上記のように理想どおりにQCDの調整を行えないシーンも多いが、理想の姿を頭に入れておくことは重要である。その上で、本稿がプロジェクトにおけるスケジュール調整方法の参考になれば幸いである。

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