自信が打ち砕かれた経験が自分を育てる~中堅SEに求められているもの~

先日、SEとしてのキャリアを経てとあるIT企業の経営役に就かれた方の講演を聴講する機会がありました。そこでは、5~10年目くらいの年次の、いわゆる中堅SEに向けたキャリアの築き方であるとか、どのようにして自分の価値を出していけばよいのか、何が求められているのかと言った話をうかがうことが出来ました。

 

 

本記事では、そこで得た内容の中から心に残った内容をピックアップして共有したいと思います。

 

 

突然の変化とはじめての挫折

経営役の方(以降Aさん)が7年目の中堅SEだった時代のことです。彼は当時、アプリケーション開発チームのリーダーとして活躍していました。5~6年間を通じ同じ業界向けのシステムの保守運用に携わり、チームメンバーや上司、顧客との関係性も構築できており、システムの内容にもずいぶん詳しくなっていました

 

 

「井の中の蛙になっていました」そう語るAさんは、7年目のある日、まったく別の業界、全く別の職種への異動が決まった。もともとはアプリケーション開発を担当していたが、カスタマーサポート兼、システムの導入担当として顧客とやり取りする業務に就きました。

 

 

職場が家から遠くなり、周囲も知らない人ばかり。環境の変化によるストレスに加えて、仕事のやり方も業界用語も何もかも違う。これまでの部署で順調に実績を積み重ね、仕事が出来るほうだと思っていた自分が、異動先では後輩のSEにすら及ばないOutputしか出せないことに愕然とし、大いに落ち込んだそうです

 

 

振り返ると逆境こそが成長のチャンスだった

Aさんはそんな逆境にもめげずに、他部署の先輩や上司、後輩SEの動きを観察することからはじめたそうです。すると以前の部署では重要視されていたことが重要ではなく、反対に以前は重要視していなかったのに今の現場では重要視されていることがあることに気付きました。

 

 

新たな環境の価値観を学んだAさんは、周囲のメンバーたちの動きの良いところを取り入れ自分が過去の経験から学んだことと親和性の高い部分の融合を図りました。そうすることにより、現在の環境に適応するだけでなく、Aさんならではの「価値」を提供できるようになったと言います。

 

 

3年後には移動先の部署で課長に昇進したAさんは、当時を振り返ると逆境こそが自分のキャパシティが広がったきっかけだと話していました。自分の積み上げたものが一度は崩れ去ったかのような喪失感と、そこから奮起し自分と向き合った時間こそがAさんを経営役になるほどの人物に育てたのです。

 

 

Aさんのエピソードに学ぶ「中堅SEに求められるもの」

彼の話から感じた、中堅SEに求められるものを私なりにまとめてみました。

 

自立して価値を生み出す姿勢

逆境に置かれたり、課題が発生したとしても自分の力で(周囲に働きかけることも含めて)「なんとかする」力が必要です。難しい状況から何とか物事を成功に導くためには、教科書どおりのキレイなやり方だけではなく、一見泥臭く見える方法であったり、使えるものはないか藁にもすがる気持ちが必要です。そして何よりそれを自分が責任感を持って実行する、まさに「自立」こそが中堅SEに求められていることなのだと感じました。

 

 

後進の指導、育成

自分が未来永劫に今の仕事を守り続けていくとは限りません。自身が作り上げ、まわり始めた業務を、今度はチームとして継続していくための育成活動が、中堅SEには求められています。Aさんも元のチームで保守運用を続けていくと考えていた矢先での異動となり、チームの後輩に十分な指導を出来なかったことを反省されていました。自立したSEになると同時に、チームとしての機能を考え、後進を育成することが必要です。

 

 

変化への適応力

これからの時代に急激な変化は避けられません。そうした場合に、いかにして新しい環境に適応できるかが、今後は重要になります。一見、過去の経験が使えない環境に変化したように感じても、そこで改めて自分自身を振り返ることで、これまで気付かなかった強みに気付く場合があります。これまで積み上げてきたものを無駄にするか、有効に活用できるかは自分次第ということですね。

 

 

まとめ

時代は変化しているため、先人たちがあるんで来たキャリアや、仕事のやり方を模倣するだけでは、これからの時代で生き残っていくことは出来ません

 

 

そうした状況の中でも、たくましく自立していくことが今の中堅SEには求められています。先人たちがしてきたように、上司や先輩の姿を見て、良い部分を盗み悪い部分を変革していく。社会人5~10年目の、中堅と呼ばれる時期は、まさに「守破離」の、「守」と「破」の間の時期なのではないでしょうか。

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