ストレスを生み出すもと=ストレッサーを探し出そう
本稿では、自分にストレスを与える原因である、ストレッサーを探しだすために便利なツールと、その使い方を紹介する。
ストレスコントロールに関しては以下の記事も参考にして欲しい。
「あなたはどういう状況でストレスを感じますか?」と問われると、なんとなくこういう状況はストレスがたまるな、という場面が幾つか思い浮かぶかもしれない。しかし、続けて「その状況で、具体的に何がストレスの原因になっていますか?」と問われたときに把握できている人は少ないのではないだろうか。
SEの仕事はストレスの多い仕事だといわれている。仕事で感じるストレスを減らすためには、まずその根本的な原因である、ストレッサーを把握することが必要なのだ。自分のストレッサーが把握できれば、それを分析し、ストレスを回避したり、削減するための行動をとることが可能となる。
ストレス帳をつけてみよう
先述の通り、ストレッサーを探し出すことがストレスを減らすための第一歩である。しかし何もなしに自分自身について考えてみても、具体的に何が自分にストレスを与えるのかを考えることは難しい。
そこで紹介したいのが、「ストレス帳」をつけて自分のストレッサーを可視化する方法である。
<ストレス帳とは>
ストレス帳は自分がストレスを感じた状況と、それを後から客観的に見てのコメントを記載することで、自分のストレッサーを探し、改善の方法を検討することを助けるツールである。
ストレス帳をつけることで、これまで曖昧だった自分がストレスを感じる状況と、その原因を可視化し分類することが可能となる。
ストレス帳の準備
ストレス帳を使うのに特別なツールは必要なく、紙とペンもしくはPCがあれば使いはじめることができる。
メモ帳や日記帳、PCのテキストファイルやエクセルなどストレス帳に使う媒体は何でもかまわないが、幾つかの項目を記載するため、エクセルで表を作っておくと便利だ。
ストレス帳の書き方
ストレス帳に以下の項目を用意しよう。
・日時
・場所
・ストレスを感じた状況
・分類
・ストレスの原因
・それを避けるためにとるべき行動は?
項目を用意したら、ストレスを感じている状態/落ち着いている状態でそれそれ記載しよう。以下にそれぞれの項目の書き方を紹介する。
<ストレスを感じている状態で記入する項目>
以下の項目は、ストレスを感じている状態のときに記載しよう。出来るだけ記憶が新しい状態で記載すると効果的なので、例えばストレスを感じた日は、夜寝る前にストレス帳をつけるなどとすると良いだろう。
○日時
ストレスを感じた日時を記入する。
○場所
ストレスを感じた場所を記入する。
○ストレスを感じた状況
ストレス帳の一番のポイントになる項目。どういう状況でストレスを感じたかを記載する。出来るだけ詳細に、主観的に書くことを心がける。喋るときと同じように感情を乗せて口語で記入してもよい。時には口汚い言葉や、文章で上手く表現できないこともあるかもしれないが思ったことをそのまま記載しよう。また、後で状況をリアルに思い出すため、そのときの自分の体調、場所や人名など固有名詞も出来るだけ記入しておこう。
<落ち着いている状態で記入する項目>
以下の項目は心が落ち着いた状態や、前向きな気持ちで考えることが出来る状態で記入する。先の項目は感情的な状態で記入したが、今度はそれを客観的に捉えることを意識しよう。
ストレスを感じた状況を思い出して嫌な気持ちになることもあるかもしれないが、「自分ではない誰か別の人が書いた日記」というように捉えることで客観的になることに努めよう。
○ストレスの原因
その状況で、あなたのストレスの原因となっていたと考えられるものを出来るだけ沢山あげてみよう。例えば以下のようなものがあげられる。
- 二日酔いで頭が痛かった
- ○○○さんがから言われた「XXX」という言葉が自尊心を傷つけた
- 上司から振られた▲▲▲という仕事のXXXの部分がイメージがつかず不安だった
- 恋人とケンカしていた
- 飲み会の予定があり急いでいたのに仕事を頼まれた
- 飼っていたペットがその日の朝、死んでしまった
- 部下の仕事の結果が自分の想定より悪かった
- 社内での自分の評価が落ちたと感じた
○分類
ストレスの原因が幾つか洗い出せたら、感じていたストレスはどういう種類のものだったのかを分類してみよう。分類は例えば「怒り」「悲しみ」「不安」「喪失感」などである。
○それを避けるためにとるべき行動
次回、同じ状況になった場合に、どんな行動をとるべきかを記載する。もしある程度時間をかけて考えても難しい場合は、無理に記載せず、次回も同じように感じるだろうということを記載しておく。
ストレス帳をつけたら振り返りを行おう
ストレス帳にストレスを感じた状況がたまってきたら、振り返りの時間を設けよう。
一つ一つのストレス状況に対する改善策は既に考えているので、ここでは少し高い視点を意識し、自分のストレッサーとなりやすいものが何かを俯瞰してみよう。また、振り返りの効果を高めるポイントは、自分のどの行動を変えるかを決めることだ。
例えば、終電を逃してしまったり、帰りの電車で寝てしまい自分の駅を乗り過ごした、というようなストレス状況が多いことがわかれば、「今後、必ずXX時前には帰りの電車に乗る」といったように、ストレス状況を避けるための行動を具体的に決めることが重要だ。
ストレス帳を使った振り返りは、頻繁に行う必要は無いが最低でも年に一度くらいは行うと良いだろう。内容によっては人に見せづらいものもあるかもしれないが、信用できる人と一緒に読み返してみることも非常に効果的だ。他人の視点から見ると意外な傾向が見えてくる場合が多い。
ストレス帳をつけることで得られる3つの効果
1.ストレスを発散することが出来る
ストレスを感じた状態で、それをストレス帳に書きなぐることで自分の中で悶々としていたストレスを吐き出し、ストレス発散の効果がある。
2.客観視する材料になる
ストレス状況を言語化することにより、あとで分析することが可能となり、客観的に改善策を検討する材料とすることが出来る。
3.自分自身について理解が深まる
自分自身の記録を集めて傾向をみることにより、自分がどういう人間なのかということが見えてくる。これは、ストレスのコントロールだけでなく、強みや弱みを検討する場合にも役に立つだろう。
まとめ
ストレスをコントロールするための第一歩として、自分がどんなことにストレスを感じるのかを知る必要がある。
そのために有効なツールとしてストレス帳を紹介した。一見ネガティブなツールにも感じられるが、あくまで最終的な目的は自身のストレッサーを見つけて、それを克服 or 回避することである。
ストレス帳を活用して自分を苦しめるストレスの正体を突き止め、その解消に役立てて欲しい。
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