ICOとは?仮想通貨発行の流れとICOのメリット・デメリットを解説~仮想通貨入門~

本記事ではICO(Initial Coin Offering:イニシャル・コイン・オファリング)の概要と仮想通貨のトークン発行の仕組みについて解説します。

 

最近、巷でよく耳にすることとなったICOという言葉ですが、暗号通貨の売却を通じてプロジェクトの資金を調達する手段として急速に注目され始めています。

 

ICOに関する衝撃的な事件として、米国のBraveという企業では、元MozillaのBrendan Eich氏が発行したBAT(Basic Attention Token:バット)が、約38億円もの資金を、トークン公開から30秒弱という驚異的なスピードで調達したことで有名となりました。

 

ICOの概要と目的

ICOとは、新たな仮想通貨を発行することで対価として資金を調達する一連流れを指します。ICOは、以下のような流れで行われます。

 

 

アナウンス

ICOの目的やトークンの用途、発行方式などの計画をホワイトペーパーとして公開します。通常、ICO対象のコインは知名度がなく宣伝をしないと誰も買ってくれませんのでホワイトペーパーの発行と合わせてプロモーション(宣伝)活動を行ったりします。

 

※ホワイトペーパーが公開されていないICOプロジェクトが時々ありますが、そうした投機を煽るだけのICOプロジェクト詐欺の可能性が非常に高いので注意が必要です。

 

オファー

興味を示してくれた投資家に対して、詳細な発行条件(発行期間や価格)を提示します。このオファーを受けて、投資家は最終的に投資を行うかどうかを決定します。オファーは仮想通貨の取引所経由で行うケースも有り、その場合は取引所が発行主に代わってトークンを売り出すことになります。

 

 

リリース

トークンを発行しトークンの利用が可能となるとともに取引所での流通が始まります。

 

 

 

ICOの特徴とIPOとの比較

ICOとIPOはどちらも企業(やプロジェクト)の資金調達のために行います。IPOと比較したICOの特徴を比較してみました。

 

このように、IPOと比較するとICOは参入の敷居が低い反面で、リスクもまた大きいという点が特徴です。

 

ICOのメリット/デメリット

ICOの利点と、抱える課題としては以下のような点が挙げられます。

 

ICOの利点(メリット)

発行側のメリット

1.手続きが簡便

従来のIPOでは証券市場に上場する際、証券取引所の認可に加え証券会社からの協力が不可欠であり、関係者も多く手続きが煩雑です。ICOではこうした手続きが簡便であることで、ある程度の規模の資金であってもスピード感のある資金調達が可能です。

 

2.コストが安い

手続きが簡便であることは、仮想通貨の発行にかかるコストが低いことを意味します。特に、良いアイデアや能力を持っているが資金が調達出来ない小さなベンチャーや個人にとっては大きなメリットです。

 

3.グローバルに資金調達が可能

ICOでは、インターネット上で広く世界中から投資家を募るため、グローバルに資金調達が可能です。

 

4.会社の所有権を手放さずに資金調達が可能

株式会社にとって株式とは会社の所有権そのものであり、多くの株式を持つ投資家は会社経営に口出しすることが出来ます。

 

トークンには会社の所有権は無いため、発行主体が経営を握ったまま、資金を調達することが可能です。

 

 

投資家側のメリット

1.海外のプロジェクトに手軽に投資が可能

インターネット上で募集されるため、IPOと比較すると他国のプロジェクトに対しても投資がしやすくなります。

 

2.大きなリターンが見込める

仮想通貨市場のボラティリティは激しく、ICOで取得したトークンが大きく値を上げた場合は大きなリターンが見込めます。ただし、リターンに比例して大きなリスクを伴うため、ICOに参加する際には入念に事前調査を行い、自身の許容できるリスクの範囲内で行うことが肝要です。

 

3.少額から参加が可能

ICOで公開するトークンの販売単位は発行主体が決められるため、IPOと比較して少額から参加することが可能です。

 

 

ICOの課題(デメリット)

1.法整備が進んでいない

投資家保護の観点で、ICOはまだまだ法律の整備が進んでいません。そのため、ICOを謳った詐欺は枚挙に暇がなく、ハイリターンに目がくらんだ投資家が騙されるという事件が多発しています。

 

ICOに投資家として参加する際には発行主体のホワイトペーパーをきちんと確認し、リスクを承知で行う必要があります

 

2.通貨が乱立している

ICOによるトークン発行は発行が簡単であるがゆえに、たくさんの通貨が乱立している状態となっています。トークン自体に利用価値があるものであれば良いですが、そうでない場合は流通量の低さゆえに売買も成立しづらいというリスクもあります。

 

また、きちんとした展望があるICOだったとしても、宣伝が十分に行えなかったことで資金が集まらず、消えていってしまうという事態もありえます。

 

まとめ

・ICOは企業や個人が投資家から広く資金調達を行う方法

・IPO(新規上場)と比較し敷居が低い

・ICOを利用することで全世界から素早く多くの資金を調達することが可能

・仮想通貨取引に関する法整備が進んでおらず、まだまだリスクは高い

 

問い合わせフォーム

1 個のコメント

  • はじめまして。
    シンガポールのビジネス系日本語情報誌『AsiaX』の編集を担当している石橋と申します。
    お問い合わせ先を探してみたのですが見当たらなかったため、こちらのコメント欄から失礼致します。
    詳細をお伝えしたいと存じますので、大変恐縮ですが一度当方までメールにてご連絡頂けますでしょうか。
    どうぞよろしくお願い致します。

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